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東京の郊外に立地する玉川上水駅に隣接する敷地において、3店舗が入る商業施設を建てる計画です。
設計に関わらせていただけたきっかけは、お招き頂いたプロポーザルによって弊社の案を選定して頂いたことでした。その際には、玉川上水という自然豊かな環境と敷地内に桜の木が2本立っている特徴的な条件を生かしながら、3店舗分の必要面積を確保し、駅前広場により豊かな賑わいを創出したいというクライアントからの要望がありました。
玉川上水の駅前広場は、バスやタクシーのロータリーがあるいわゆる交通結節点としての駅前広場です。朝夕の通勤通学時間帯には多くの人が行き交い、ここを起点としてそれぞれの行先に向かっていきます。一方で、大学、専門学校、高校といった教育施設へアクセスする駅であるため、学生生活の場として、また都営団地に面した位置でもあるため、そこに住む住民の方々の生活シーンの中にある場であるともいえます。さらには都心に見られるような公共性の高い駅前広場とは異なり、生活に寄り添う部分を併せ持つ独特の空気感を持った場であるという見解を持って設計を進めていきました。
具体的に最も配慮した部分は、施設の前面に設けた共用部のデザインです。駅前広場の歩道部分は多くの人の通行のため余裕を持った幅員が確保されており、実際にピーク時には歩道いっぱいに広がるほどの人々が通ります。それに対して、施設の共用部は少し引きを取るように配置されており、テナントとして入るコンビニやカフェに立ち寄る人々が利用するちょっとした溜まりとなるように工夫されています。つまりそこは、交通量を処理するために必要な空間と、店舗という機能を持った空間の間に生まれた余白です。機能的な空間に対して、共用部は目的を持たない空間であるがゆえに、目的地への道中のふとした休憩の場、学校帰りに友人と話す場、待ち合わせの場というような人々の様々な行為を許容することができます。
この共用部を作ることで、交通結節点としての忙しない移動のための空間の中に、駅前広場を利用する人々のよりどころとなる豊かな時間が流れる場を作ることが私たちの目指したことです。それは、駅前であるからこそ可能な「広場」の在り方に対する一つの試みと言っていいかもしれません。
今回の設計は、商業施設と駅前広場の間を設計することで駅前広場の使い方と時間の流れを変えることであると要約することができます。建物の高さや庇の出、外構計画は建物の外観というよりもむしろ駅前広場の空間を作るひとつの要素であることを念頭に置いて設計を行っています。特に高さにおいてはテナントである店舗からは6mという高さは要求されませんが、既存の駅舎入口及び既存の桜との高さ関係、駅前空間の広がりに対して適度な高さという点が大きな決定要因となっています。さらにファサードの形状を家形が連続した形状とすることで、共用部を包み込むような庇の出が、広場の広がりの一角にふと立ち寄りたくなるような場を作り出しています。その結果として、カフェについてはその高さを生かして、ハイサイドライトから光が入る開放的な内部空間のデザインが可能となりました。また、テラス席を設けて桜の木の下の居心地良い空間を生み出してくれたことも、駅前広場を意識した設計意図をうまくくみ取っていただいた一例であると言えます。
広場と一言で言っても、その空間性は様々であると今回の設計で改めて認識しました。特に駅前広場というものは、まず初めに交通結節点であるという目的があることが他の広場と大きく違う点です。鉄道網が発達した日本では駅前広場という言葉は当たり前のように用いられていますが、その空間性について深く考え設計されているものは意外と少ないように感じます。機能性はもちろん、利用する人々の特性や、時間による利用者量の変化、また駅前で起こりうる日常のシーンなど、この施設が今後使われていく姿を見届けながら今後も議論し、駅前広場という場所が街の中で有意義な場所となるよう努力していきたいと思います。



2013/07-2015/01
店舗設計
延床面積:360.87㎡
東京都立川市

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Photo By Tatsuya Noaki                                                                   Concept